作業療法士(OT)とは?仕事内容や給与を見てみよう

投稿日 2023年11月17日   更新日 2023年11月17日

作業療法士
OT
作業療法士は、リハビリテーションの分野における専門職の一つです。その名の通り、作業療法士は対象者の「作業」に焦点を当てた治療・支援を得意としています。作業療法士は、心身に障がいのある方に対して、その治療手段としてさまざまな作業を用いる療法を行います。

そもそも「作業療法」とは

「作業療法」とは、心身に障がいのある方に対して、その治療手段としてさまざまな作業を用いる療法です。作業というと、手工芸のような細かい手作業などを思い浮かべる方も多いかと思いますが、ここでの作業とは日常生活に関わるすべての諸活動のことを指しています。食事や着替えなどのセルフケア、家事や仕事、余暇活動なども「作業」と位置づけられているのです。
けがや病気など、何らかの理由で作業(=活動)がうまくいかなくなったとき、作業療法士はさまざまな方法で対象者をサポートしていきます。さらに作業療法士は、身体だけでなく精神面に対しても作業を用いてアプローチすることができます。作業療法士は、対象者が自分らしく生き生きとした生活を送ることができるように、さまざまな作業を通して心と体を支えていく職業であるといえるでしょう。

作業療法士の仕事内容にはどんなものがある?

作業療法は人々の健康と幸福を促進するために、日常生活の領域で行われるさまざまな作業に焦点を当てた治療、指導、援助です。対象となる領域によって作業療法士の仕事内容は異なりますが、対象者の「自分らしい生き方」を支援するという考え方は変わりません。
作業療法士は、対象者の身体・精神機能、置かれている環境、本人のニーズなどに応じて、作業療法を展開していきます。作業療法では、以下の3つの能力を改善・維持することによって、自分らしい生活を獲得することを目標としています。
  • 基本的動作能力:運動、感覚・知覚、心肺や精神、認知機能
  • 応用的動作能力:食事やトイレ、家事など、日常生活で必要とされる活動
  • 社会的適応能力:地域活動への参加、就労、就学、趣味活動など
それぞれの能力改善・維持のために作業療法士が実際に行う具体的なケア内容には以下のようなものがあります。
  • 基本的動作能力物理的感覚運動刺激(準備運動を含む)トランポリン、滑り台、サンディングボード、プラスティックパテ、ダンス、ペグボード、体操、風船バレー、軽スポーツなど
  • 物理的感覚運動刺激(準備運動を含む)
  • トランポリン、滑り台、サンディングボード、プラスティックパテ、ダンス、ペグボード、体操、風船バレー、軽スポーツなど
  • 応用的動作能力食事・更衣・排泄・入浴などのセルフケア起居・移動、物品・道具の操作、金銭管理、火の元や貴重品などの管理練習、コミュニケーション練習、福祉用具の作成や使用、退院後の住環境の調整など
  • 食事・更衣・排泄・入浴などのセルフケア
  • 起居・移動、物品・道具の操作、金銭管理、火の元や貴重品などの管理練習、コミュニケーション練習、福祉用具の作成や使用、退院後の住環境の調整など
  • 社会的適応能力書字、計算、パソコン操作、対人技能訓練、生活圏拡大のための外出活動、銀行や役所などの利用、公共交通機関の利用、絵画、音楽、各種ゲームなど
  • 書字、計算、パソコン操作、対人技能訓練、生活圏拡大のための外出活動、銀行や役所などの利用、公共交通機関の利用、絵画、音楽、各種ゲームなど
作業療法士の扱う領域は幅広く、活躍の場も多岐にわたることがおわかりいただけるかと思います。

作業療法士と理学療法士の違いは?

作業療法士と理学療法士は、ともにリハビリテーション分野における専門職ですが、それぞれ得意な分野が異なります。

理学療法士

理学療法士は、寝返りや起き上がり、歩行などといった、日常生活を送る上で欠かすことのできない基本的な動作の獲得・回復を目的としたリハビリテーションを行います。治療の手段としては、主として「運動療法」や「物理療法」を用います。「運動療法」とは、立ち上がりや歩行といった、日常生活を送る上で基本となる動作の訓練や、動作の土台となる筋力や関節の動きを維持・改善する訓練を指します。「物理療法」は電気・温熱・光線などを用いた治療です。理学療法では、運動療法と物理療法の組み合わせによって、対象者の身体機能の回復や基本的動作能力の回復を促します。

作業療法士

一方、作業療法士は作業を通して身体と心のリハビリテーションを行う専門家です。基本的な動作の上に、応用的な作業や活動を積み上げていくリハビリテーションを得意とします。例えば、理学療法で獲得した立ち上がりの動作をさらに一歩進めて、トイレの動作や着替えの動作など、日常生活に必要な動作につなげていくのが作業療法士です。さらに作業療法士は、リハビリテーションの専門職の中で唯一、精神に障害のある方への専門的なアプローチが可能な職種です。そのため、精神科の病院やデイケア、認知症関連の施設などでもその専門性を発揮しています。作業療法士は作業を通して対象者の生活を構築していくという特性から、障害のあるなしに関わらず、支援を必要としている人すべてに作業療法を提供することができます。

作業療法士になるには?

作業療法士は国家資格の一つです。そのため、作業療法士になるには、まず作業療法士国家試験に合格しなければなりません。なお、国家試験を受験するためには、作業療法士養成校を卒業している(または卒業見込みである)ことが必要です。
作業療法士の養成校は全国におよそ207校あります。養成校には専門学校や大学があり、修養年数は3年または4年とされています。修養年数に違いはあっても、卒業までに修得すべき知識や技術には差はありません。養成校では医学的な基礎知識をはじめ、作業療法に必要な専門的な知識、実際の医療・福祉現場での臨床実習など、幅広い知識や技術を学びます。
作業療法士国家試験は毎年2月に実施され、筆記試験と口述試験および実技試験が行われます。合格率は70〜80%台で推移していますが、年によってバラつきが見られます。

理学療法士または作業療法士になるためのステップ

  • 教育機関への入学 理学療法士や作業療法士を目指す第一歩は、教育機関に入学することです。これらの専門分野には、以下のような教育機関が存在します。
  • 4年制の大学
  • 3年制の短期大学
  • 3年制または4年制の専門学校
  • 視覚障害者向けの特別支援学校
  • 4年制の大学
  • 3年制の短期大学
  • 3年制または4年制の専門学校
理学療法士を目指す場合、学ぶべき主な科目には「一般教養」「専門基礎」「専門科目」「臨床実習」の4つのカテゴリーがあります。一方、作業療法士を目指す場合は、「基礎分野」「専門基礎分野」「専門分野」という3つの主要なカテゴリーに分かれ、幅広いトピックを学びます。

作業療法士の就職先は?

作業療法士は、医療・福祉の現場をはじめ、教育機関や行政機関など、さまざまな分野で活躍しています。主な就職先としては以下のようなものがあります。
  • 医療分野:大学病院、総合病院、クリニック
  • 福祉分野:障害者施設、児童福祉施設
  • 介護分野:老人保健施設、デイケア
  • 保健分野:地域包括支援センター、保健センター
  • 職業関連:就労支援事業施設、ハローワーク
  • 教育分野:特別支援学校
作業療法士は、幅広い分野で活躍することができるため、自身の興味や適性に合わせて就職先を選ぶことができます。

作業療法士の給与はどのくらい?

作業療法士の給与は、経験年数や所属する施設によって異なります。以下は、2023年1月時点の全国の作業療法士の給与相場です(残業手当などは集計対象外です)。
  • パート・アルバイトの時給:1,491円〜1,678円
  • 正職員の月給:25万2,498円〜32万2,648円
  • 正職員の年収:353万4,972円〜451万7,072円
作業療法士の給与は、他の医療・福祉の専門職と比較しても高水準であり、安定した収入を得ることができます。

まとめ

最後に 作業療法士は、リハビリテーションの専門職として、対象者の生活をサポートする重要な役割を果たしています。身体と心のリハビリテーションを通じて、対象者が自分らしく生きることができるように支援しています。作業療法士の需要はますます高まっており、さまざまな分野で活躍の場が広がっています。もし作業療法士に興味を持ったのであれば、資格取得を目指して学校に進学し、将来のキャリアを築いてみてはいかがでしょうか?
Resumy AI監修者
監修者: RESUMY.AI編集部

株式会社リクルートや株式会社マイナビ出身の大手人材紹介エージェント出身のキャリアアドバイザーや人事経験者のあるキャリアコンサルタントが在籍。

RESUMY.AIを運営する株式会社Chottでは、「RESUMY AGENT」による無料の転職相談を承っております。お気軽にご相談ください。

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